こんばんは。
年内最後の更新です。
うちには猫が二匹いる。
よくある話かもしれないが、様奥のおじいさんもおばあさんも高齢になり猫の世話がしんどくなったということで、うちに連れてきた猫である。連れてきてもう7年になった。
今はもう、おじいさんもおばあさんも天国にいる。
猫はまあ、おじいさんとおばあさんの「かたみ」のような存在である。
訳あって、様奥の両親は様奥が小さい頃に離婚していて、父親が出て行っている。
更に悪いことに、様奥を引き取った母親は様奥が幼少の頃に精神を患い、全く回復しないまま入院し、特養に入ってもらった。つまり、一人っ子の様奥は両親不在に等しい状態で大人になった。
だから、様奥のおじいさんとおばあさんが猫を飼えなくなった、イコール、うちに引き連れてくるという状態が成立する。
私も、様奥と結婚を意識したときに将来は猫を引き取ることを覚悟していた。
いずれ新築する予定だったので、アパート代がもったいないと思い、結婚の準備をしながらペット対応の新築の話も進めた。
新築引き渡しの翌月に結婚披露宴をして、数年は猫なし、子なしの生活をしていた。
私は子どもの頃から、家の中を自由に動くことが出来るペットを飼ったことがないまま大人になった人間である。釣ってきた小魚を水槽で飼ったことがある程度である。
猫を飼うと家の中がどういう状態になるのか知らなかったので、様奥と付き合っているときに様奥の実家を見たくてお願いしたが見せてもらえなかった。
付き合っていた頃、土日はどちらも会っていた。
猫がいて、両親が機能せず、老々介護の老夫婦がいて物にあふれた家・・・そして様奥本人も片づけが大の苦手。
結婚も考えているのに実家を見せてくれないのは何故かと詰め寄ったとき、実家の状態の話を少し聞いていたのでイヤな予感がしていた。だから結婚を意識した頃からは土日の両方会うのではなく、結婚に向けて土曜か日曜のどちらかはお互いの身辺整理をしようと提案した。
提案したのだが、その提案は断られた。
土曜も日曜も私と会いたい、という気持ちはとても嬉しかったが、不安な気持ちがどうにも拭えなった。
新築引き渡しが終わり、いよいよ結婚式だというときに初めて様奥の実家に入れてもらって絶句した。不安が的中。
あちらこちらボロボロ。というか、管理できていない。
ふすまと畳は爪とぎと化して、障子紙は猫と母親がすべて破っている。
しかも、(ブラッシングなどの手入れをしてもらっていない)猫は不定期に毛玉を吐くものらしく、あちらこちらに吐いた後があった。早食いをする猫も吐き戻す。
家を切り盛りしなくてはならないはずの母親が全く機能せず、物にあふれ猫の抜け毛があちらこちらにたまっていた。
様奥に、こうなる前になぜ断捨離をしなかったのかと詰め寄ったが、母親の物を勝手に処分すると暴れるし、おじいさんとおばあさんも物を捨てるなと言ってたから断捨離出来なかったとのこと。あまり詰め寄ると泣き出すからそれ以上言えなくなった。
これまで家の中を見せなかったのも、見せたらこの縁談を断られると確信していたから様奥のおじいさんが見せないようにしていたとのこと。
内心、卑怯だなと思ったよ。
様奥自身は大卒であるが、家の人から整理整頓について教えられないまま大人になっているから片づけが大の苦手である。これが、様奥が片づけが苦手な理由だそうであるが、それは大人になってからでもいくらでも苦手を克服しようと努力することは出来た筈である。
その努力の跡が、全く見られなった。
新しい家を私と一緒に切り盛りするのに、だ。
こうして、老々介護になっているような家に猫がいるとこうなるのだと納得した。
新築の家に入って結婚生活を始めてからも片づけは苦手なまま。
冷蔵庫の中も部屋の中も、様奥に管理をお願いしている場所はもれなく荒れている。
そう。一軒の家の中で様奥の実家のコピーが部分的に出来上がっている。
推し、料理などの好きなことしか自分から学ぼうとしない。
ではなぜそんな様奥と今も一緒にいるのか?
子どもなんか考えずに離婚したらいいのではなかったのか?
それは、様奥が「これまで私が接してきた女性の中で一番心優しかったから」である。
優しさにあふれ、体によい食事を作ってくれ、悪いことを全く考えない。純粋すぎる。
きっと、おじいさんとおばあさんが、ほぼ親なしの様奥を不憫に思って大事に大事に育てたんだろうと思う。様奥がいじめられて中学校2年生の1年間ずっと不登校だった時も焦らせずに待ってくれたそうである。
優しいのだが、片づけが出来ないのは子どもの教育に良くないからと様奥に何度も詰め寄り、泣かれてきた。
うちもあちこちに猫の爪痕が出来てしまった。
自分の物は自分で管理して、子どもにはビシッとしたところを見せてほしい、と。
そして、この年末。
おばあさんの祭壇を飾る場所を確保した。
ユリの花は猫には毒らしいから、猫が入って来ない所に確保した。
その後、
腰の重い様奥を促して、様奥と一緒に足の踏み場の無い部屋の物を徹底的に断捨離して、快適な空間を作り出した。
ひとつひとつ手に取って、悩むくらいなら捨てる。
これくらいの覚悟が無いと片付かなかった。
この後も、思い出の品だけは大切にしながら断捨離を続けていく。
紅白を見ていると子どもが、最近一番うれしかった事は何かわかる?
と私に尋ねてきた。
わからなかったので、「何?」と尋ね返したところ、
「パパとママが一緒にお片付けをしてくれて、気持ちのいいところを作ってくれたことだよ」とのこと。
子どもから尊敬してもらえる親でいられるように、親自身の努力は欠かせない。
みなさま、よいお年をお迎えください。